米国の首都ワシントンに開設された国立アフリカ系米国人歴史文化博物館。その多彩な展示品は、黒人たちの苦難と忍耐、勝利の歴史を伝えている。

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未来へ伝える アフリカ系米国人の足跡

米国の首都ワシントンに開設された国立アフリカ系米国人歴史文化博物館。その多彩な展示品は、黒人たちの苦難と忍耐、勝利の歴史を伝えている。

文=ミシェル・ノリス
写真=ラドクリフ・ロイ(ポートレート)、グラント・コーネット(展示物)

 国立航空宇宙博物館や国立自然史博物館など、スミソニアン協会が運営する博物館は米国が誇る知の殿堂だ。そして2016年9月には、アフリカ系米国人の視点から米国の歴史を見直すという使命を帯びた、「アフリカ系米国人歴史文化博物館」が新設された。来館者は年間500万人と予測されている。

忘れられていた祖父の勲章

 この博物館には、ジーナ・マクベイの祖父がフランス政府からもらった勲章も展示されている。マクベイが祖父の勲章のことを知ったのは、偶然の成り行きからだった。車の販売店で制服姿の一人の兵士に出会わなかったら、彼女は自分の祖父が第一次世界大戦で果たした役割を知ることもなかったかもしれない。

 店の待合室での何気ない雑談で、自分の祖父が第一次世界大戦に行った話をすると、その兵士は「おじいさまの任務は何でした? 任地は?」と矢継ぎ早に質問を浴びせた。

 彼女の祖父ローレンス・レスリー・マクベイ Sr.は、マクベイがまだ10歳のときに亡くなった。彼女はこの祖父と2回しか会ったことがなく、フランス政府から立派な勲章を授与されたことぐらいしか知らなかった。

「勲章の話をすると兵士は顔を輝かせ、祖父は黒人だったのかと尋ねてきました」。マクベイがアフリカ系だったので、そう推測するのは当然だった。彼は、勲章の名前は『クロワ・ド・ゲール(戦功十字章)』ではないかと言い、「祖父が本当にその勲章を授与されたのか知りたがりました」。次にその兵士が口にした言葉を、マクベイは今でも覚えている。「その勲章がどれほど重要なものかご存じですか? 歴史的に貴重なものですよ」

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年10月号でどうぞ。

編集者から

 アフリカ系米国人歴史文化博物館の公式サイトでは、全展示物をカテゴリーごとに検索できるサービスがあります。「Music」をのぞいてみると、「マイケル・ジャクソンのフェドラ・ハット」「プリンスのタンバリン」「ホイットニー・ヒューストンの衣装」といった、残念ながら名前の頭に「故」とつけなければならないスーパースターたちの遺品が並んでいます。プリンスは生前、「黒人には2度目のチャンスは与えられない」と語っていました。世界のトップまで登りつめてもなお立ちはだかる人種差別という高い壁の存在。一体、どこまでいけばいいんでしょうか? そんな嘆きが聞こえてきそうです。せめてこの展示をきっかけに、米国の歴史を知らなかった彼らのファンが立ち止まり、考える機会をもつことを願って。合掌。(H.O.)

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