ファッション界に毛皮が再び返り咲き、人気の素材としてもてはやされている。一方、生産の現場では、毛皮用の飼育動物の扱いが見直されつつある。

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毛皮ブーム再来の陰で

ファッション界に毛皮が再び返り咲き、人気の素材としてもてはやされている。一方、生産の現場では、毛皮用の飼育動物の扱いが見直されつつある。

文=リチャード・コニフ/写真=パオロ・マルケッティ

 毛皮への逆風がファッション界に吹き荒れたのは過去の話だ。かつて「毛皮を着るくらいなら裸でいい」という反毛皮キャンペーンの広告を飾ったトップモデルたちも、今では毛皮のモデルを務めている。15~20年前には「さわるのも恐ろしい」と毛皮を避けていたデザイナーたちも、もはや「そのタブーを乗り越えた」と、カナダのノバスコシア州のミンク生産者ダン・マレンは言う。

 毛皮業界では多くの人々が、以前に活動家たちが繰り広げた強硬な抗議にも一理あったと認めている。毛皮用の動物たちの扱いには、確かに問題があった。だが現在は改善済みだと業界側は主張し、活動家はそれに異論を唱える。いずれにせよ、毛皮を着るのは個人の選択の問題だと考える人が、今は多そうだ。

新興富裕層による需要の増大が追い風に

 毛皮復活への流れを作った要因の一つは、毛皮業界が外部からの批判を受け入れ、飼育環境の改善などの対策を進めてきたという事実だろう。また中国、韓国、ロシアの新興富裕層による需要の増大も強力な追い風となった。

 取引される毛皮の大半は、飼育されたミンクやキツネなどのものだ。その生産量は1990年代の2倍以上となり、2015年には約1億枚に達した。わな猟による野生のビーバー、コヨーテ、アライグマ、マスクラットなどが例年は数百万枚。このほか牛や羊、ウサギ、ダチョウ、ワニ類も食肉と皮革の供給源となっている。

 実際に毛皮を買う人々は、動物の扱われ方など気にかけるだろうか。「上海で聞くかチューリヒで聞くかで、答えはかなり違うでしょう」と、コペンハーゲン・ファーのテーイ・ピーダスン会長は言う。「だが将来的には、気にする人が増えていくでしょう。対象は毛皮に限りません。動物の飼育環境に配慮しているかと店頭で尋ね、店側が問題ないと答えれば、なぜわかるのかと質問するでしょう」

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年9月号でどうぞ。

編集者から

「毛皮を着るくらいなら裸でいい」…こんなキャッチフレーズで話題になったポスター、そういえばありました。特集にも出てきますが、毛皮というと、かつて繰り広げられたさまざまな排斥キャンペーンの記憶がよみがえります。ところがファッション界ではいつの間にか、毛皮の人気が復活していたのですね。背景には、毛皮産業側のさまざまな取り組みのほか、中国やロシアといった国々の新興富裕層による需要の増大があるようです。「毛皮動物の飼育を禁止しても、それで人々が毛皮を着なくなるわけではない。生産地が規制のない地域に移るだけだ」という筆者の指摘には、なるほどその通りかもしれないと、考えさせられました。(H.I.)

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