米国のグランドキャニオンに開発の波が押し寄せている。大峡谷の横断に挑んだ探検家たちが、原生の自然を台無しにする人間の営みを目の当たりにした。

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自然と人間 傷つけられるグランドキャニオン

米国のグランドキャニオンに開発の波が押し寄せている。大峡谷の横断に挑んだ探検家たちが、原生の自然を台無しにする人間の営みを目の当たりにした。

文=ケビン・フェダルコ/写真=ピート・マクブライド

 米国で屈指の人気を誇る景勝地、グランドキャニオン。その存在を知った米国人は、雄大な大峡谷を守ろうとする一方で、金もうけの誘惑にも駆られてきた。

 1869年のジョン・ウェズリー・パウエルの探検後には、銅、亜鉛、銀、アスベストといった資源の採掘権を狙って人々が押し寄せた。1950年代には、バラ栽培用の良質な肥料になるコウモリの糞などを洞窟から採取して運び出すために空中ケーブルが敷設されたが、この事業は長続きしなかった。政府までもが、大峡谷のど真ん中に水力発電用の巨大ダムを2カ所建設する計画を立てていた。

大峡谷を脅かす新たな開発計画

 1960年代、自然保護団体のシエラクラブが先頭に立ってダム反対運動を展開し、計画を阻止することに成功した。これを機に、グランドキャニオンの自然は侵すべからずという考えが定着した。ところが最近になって、新しい計画の話をいくつも耳にするようになった。その多くは国立公園のすぐ外側、米林野局の管轄地や先住民の居留地で民間企業が進めている。大規模な観光開発からウラン採掘まであらゆる手段で、世界有数の大自然が残る国立公園を食い物にしようとしているのだ。

 グランドキャニオンの西端では、川の南岸に居留地があるワラパイ族が、コロラド川沿いの長さ35キロの空域を無制限に飛行できるようになった。彼らの要請を受ける形で、連邦航空局が規則を変更した。これでワラパイ族はヘリコプター遊覧飛行を好きなだけ実施できる。すさまじい騒音は1日中やむことがなく、地元ではこの地域は「ヘリコプター通り」と呼ばれている。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年9月号でどうぞ。

編集者から

 特集ではヘリコプター遊覧やロープウェー計画が取り上げられていますが、実はグランドキャニオンには、すでに「スカイウォーク」という観光施設があります。床がガラス張りになった展望橋で、崖の上から峡谷に張り出すように設置されていて、まさに空を歩いているような体験ができるそうです。そこからの眺めがどんなものか、興味のある方は動画「グランドキャニオンのスカイウォーク」をご覧ください。心なしか、床が透明な部分を歩いている人は少ないように感じますね。やっぱり怖いんでしょうか。気になります。(T.F.)

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