温暖な外洋に分布するヨゴレは、凶暴な「人食いザメ」として船乗りたちに恐れられていたが、乱獲などによって世界の海から急速に姿を消した。

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海のハンター 大海原の王者 ヨゴレはどこへ?

温暖な外洋に分布するヨゴレは、凶暴な「人食いザメ」として船乗りたちに恐れられていたが、乱獲などによって世界の海から急速に姿を消した。

文=グレン・ホッジズ/写真=ブライアン・スケリー

 全長が2.5~4メートルにもなるヨゴレは恐れ知らずのしつこいサメで、生き物が少ない“生態系の砂漠”と呼ばれる外洋に分布する。ヨゴレは翼のような長い胸びれですべるように泳いでは、獲物の候補(難破船の周りでもがく船員、クジラの死骸、マグロの群れなど)に出くわすと、寄ってたかって調べる。もし近くにいる“獲物”があなただけなら、ヨゴレは非常に危険な存在となるだろう。そうでない場合は、ドキッとさせられるぐらいがせいぜいだ。

【動画】「人食いザメ」と恐れられてきたヨゴレは、外洋に分布するサメだが、その数は激減している。防護用のケージを使わずに撮影された貴重な映像。(Video by Joe Romeiro)

ヨゴレは本当に悪者か

 映画『ジョーズ』にも、ヨゴレの話は出てくる。第二次世界大戦末期に米軍艦インディアナポリスが日本軍の潜水艦に沈められたとき、海に投げ出された乗組員たちを苦しめたサメがヨゴレだったとされている。登場人物のクイント船長はインディアナポリスの生き残りという設定で、その体験談がヨゴレの悪評を広めるきっかけとなった。「海に落ちた1100人のうち、助かったのは316人。残りはサメに食われた」

 だが、元乗組員たちの体験談は、クイントのものとは違う。92歳のクリータス・レボウに、海に投げ出されて何が一番つらかったかと聞くと、たちまち答えが返ってきた。

「喉が渇いたことです。何をおいても、水が飲みたくてたまらなかった」。サメはどうでしたか? 「周りを泳いでいるのを何度か見かけましたが、悪さはしてきませんでした」。同じく92歳のライル・ユーメンホッファーもこう語った。「周囲にサメがいたら用心しなきゃならないし、近づき過ぎたら蹴らなきゃいけない。でも、サメはそれほど怖くはなかったですよ」

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年8月号でどうぞ。

編集者から

 シリーズ「海のハンター」の最終回は、イタチザメ属のヨゴレです。ホホジロザメほどの知名度はないのですが、かつては外洋に数多く生息していて、船乗りに恐れられた存在だったそうです。フカヒレを目当てに乱獲されて、半世紀ほどで激減したのだとか。人間はいとも簡単に自然を傷つけてしまうのだと、改めて考えさせられました。恐ろしいのは、サメではなく、やはり私たちなのでしょう。(S.O.)

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