ゴリラの楽園で知られるコンゴ民主共和国のビルンガ国立公園では、隣国で起きた武力紛争が飛び火し、野生動物や豊かな自然が脅かされている。

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自然と人間 戦火の国立公園 ビルンガの闘い

ゴリラの楽園で知られるコンゴ民主共和国のビルンガ国立公園では、隣国で起きた武力紛争が飛び火し、野生動物や豊かな自然が脅かされている。

文=ロバート・ドレイパー/写真=ブレント・スタートン

 コンゴ民主共和国の東端に位置するビルンガ国立公園は、アフリカで最も長い歴史をもつ国立公園だ。そこに通じる未舗装の道を、7人の若者たちが補修している。彼らが熱心に働くのは、そこに道を補修する以上の意味があるからだ。欧米の観光客は、このブキマ道路を通って公園南部にあるブキマの管理事務所にやって来る。観光客の目当ては、ビルンガ国立公園の象徴でもある希少なマウンテンゴリラを間近で観察することで、彼らの落とす金が公園の運営資金となる。

 よくも悪くも、ビルンガのような国立公園はほかには見当たらない。およそ80万ヘクタールの敷地内には、氷河から解け出た水が流れ込む川や、アフリカ大湖沼の一つであるエドワード湖がある。さらにサバンナや未踏の低地多雨林が広がり、名峰マルゲリータ山や、活発な火山も二つそびえている。鳥は700種以上、哺乳類は200種以上生息し、全世界で880頭しかいないマウンテンゴリラのうち、480頭がここにすんでいる。エドワード湖からセムリキ川が流れ出す地点に立つと、遠くに雄大なルウェンゾリ山地が見える。昇り始めたばかりの朝日を背に浴びながら、ゾウが泳ぎ、コウノトリの仲間のクラハシコウが悠然と岸辺を散策している。

隣国ルワンダの紛争が飛び火

 そのビルンガ国立公園が紛争に巻き込まれて、もう20年になる。1994年、フツ系勢力がツチ系住民を大量に虐殺するに至った隣国ルワンダの民族紛争が、コンゴに飛び火した。制圧されたフツの兵士が、100万人を超える難民とともに国境を越えてコンゴになだれ込み、公園の周辺は難民キャンプと化した。ここに逃げ込んだフツの人々は武装集団ルワンダ解放民主軍を結成し、これに対抗するため、ルワンダ政府の後ろ盾を得て結成されたのが人民防衛国民会議だ。後者の呼びかけに応じ、コンゴのツチ系住民は「3月23日運動」を結成した。そして、これら武装集団が扇動した報復合戦の影響は、やがて国立公園にも広がっていった。

【動画】親を失って保護されたマウンテンゴリラの子どもたちを、ビルンガ国立公園のレンジャーたちが育てている。(解説は英語/フランス語です)

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年7月号でどうぞ。

編集者から

 この特集を手がけた写真家ブレント・スタートンが最初にビルンガ国立公園を訪れたのは2007年のこと。彼は、その後も何度もこの地を再訪していますが、その理由は「最初に出会ったレンジャーたちと、それに続く人々の熱意に心を動かされるから」と答えています。その2007年のビルンガの悲惨な状況は、2008年7月号の特集「ゴリラ殺害事件の真相」で知ることができます。現在も問題が山積みですが、当時と比べれば、ほんのわずかですが前に進んでいることもわかります。ぜひ併せてご覧ください。スタートンが継続して取材を続ける意味も、きっと感じとっていただけるでしょう。(H.O.)

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