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人間と自然は、果たして共存できるのか? 世界で最初に誕生した米国の国立公園では、自然保護の壮大な実験が今も続いている。

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イエローストーン 自然保護の実験場

人間と自然は、果たして共存できるのか? 世界で最初に誕生した米国の国立公園では、自然保護の壮大な実験が今も続いている。

文=デビッド・クアメン

 2015年8月7日、米国のイエローストーン国立公園で、動物にかじられた痕跡のある男性の遺体が発見された。

 現場は散策路の近くで、公園内の大きなホテルからさほど離れていない。男性の身元はすぐに判明した。公園内の診療所で観光シーズンだけ看護師として働いていたランス・クロスビー、63歳。発見当日の朝、同僚が捜索願いを出していた。

 その後の調べで、クロスビーは前日、クマよけスプレーを持たずに一人でハイキングに出かけ、2頭の子グマを連れた雌のグリズリー(ハイイログマ)に出くわしたことがわかった。母グマは彼を殺して体の一部を食べ、子グマたちにも食べさせた。
 母グマは捕獲され、DNA検査で事件との関連性が確認されると、鎮静剤と麻酔薬を投与したうえで殺処分された。

原初の大自然と現代社会は共存できるか

 イエローストーン国立公園を含む一帯には、さらに広域にわたる大規模な生態系が存在する。この「グレーター・イエローストーン生態系」には、南に位置するグランド・ティートン国立公園や、周辺の国有林の一部や野生生物保護区、その他の公有地や私有地が含まれ、面積は約900万ヘクタールに及ぶ。生態系の周囲に設けられた緩衝地帯では農場や牧場が営まれ、グリズリーやバイソンに遭遇するよりも、牧場の牛や穀物用のサイロを目にするほうが多い。聞こえてくるのはオオカミの遠ぼえではなく、猟犬や番犬のほえる声だ。緩衝地帯の外側には21世紀の米国社会が広がっている。幹線道路、市街地、駐車場、ショッピングモール、拡大し続ける郊外住宅地、ゴルフ場、スターバックスといった、おなじみの光景だ。

 ここでちょっと考えてみよう。現代の先進国のまっただ中に、原初の大自然を小さく切り取って残しておくことは、果たして可能なのだろうか。

【動画】カメラトラップ(自動撮影装置)がとらえた、クマたちの「入浴シーン」

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年5月号でどうぞ。

編集者から

「アメリカの国立公園」というお題で山手線ゲームをしたら、自分が真っ先に思いつく答えはグランドキャニオンか、イエローストーンのどちらかです。イエローストーンは世界で最初の国立公園としても有名で、その名を聞けば熱水を噴き上げる間欠泉や、地下の超巨大火山、グリズリーやオオカミ、バイソンといった野生動物が脳裏に浮かびます。それだけに、個人的には「立派で、ちょっと近づきがたい」イメージがありました。
 でも、そんなイエローストーンの歩みにも紆余曲折があったことを、今回の記事で知りました。国立公園誕生の背景には鉄道会社の思惑もあったとか、昔は毛皮のためにエルクを殺すハンターが公園に平気で出入りし、オオカミなどの捕食動物は悪玉として殺されていたとか。やがてオオカミは姿を消し、グリズリーやバイソンも一時は激減。そのどん底から不死鳥のごとく復活を遂げたのが、現在のイエローストーンなのです。そう思うと、なんだか応援したくなってくるから不思議なものです。(編集H.I)

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