緑豊かな森や公園を散策すると、仕事のストレスで疲れた心が休まるのはなぜか。自然が脳に良い効果をもたらすことが、科学的な研究でわかってきた。

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自然に癒やされる

緑豊かな森や公園を散策すると、仕事のストレスで疲れた心が休まるのはなぜか。自然が脳に良い効果をもたらすことが、科学的な研究でわかってきた。

文=フローレンス・ウィリアムズ/写真=ルーカス・フォグリア

 なぜ人間は自然の近くにいると心地よく感じるのか。英国グラスゴー大学の疫学者リチャード・ミッチェルは当初、公園での運動が健康の鍵だろうと考えた。しかし、ミッチェルが大規模な調査を行ったところ、公園などの緑地の近くに住む人々は、実際に緑地を利用するかどうかにかかわらず死亡率や病気の罹患率が低いという結果が出た。「ほかの研究結果と併せて考えると、実際に散歩しなくても、緑地には健康を回復させる効果があるといえます」とミッチェルは言う。しかも、所得の最も低い層がこの効果の恩恵を最も強く受けているようだ。

森の散策でストレスホルモンが減少

 自然にはストレスを軽減する働きがあるのではないかと、研究者たちは考えている。窓から殺風景な街並みしか見られない人に比べて、木々や草地を眺められる人のほうが、病院では回復が早く、学校では成績が良く、犯罪の多発地区では暴力行為が減る傾向にあるという。

 森の中を15分歩くだけで、生理機能に顕著な変化が起きる。千葉大学環境健康フィールド科学センターの宮崎良文教授が率いる研究チームは、84人の被験者に森を散策させ、同数の別の被験者には都市の中心部を歩かせた。実験の結果、森を散策したグループでは、ストレスホルモンのコルチゾールが16%減少し、血圧は2%、心拍数も4%、それぞれ低下した。宮崎教授によると、人類は自然の中で長い時間をかけて進化してきたので、自然に囲まれていると体がリラックスするのだという。

【動画】森の緑と清流、鳥のさえずり…映像や音による「バーチャル森林浴」にも、癒やしの効果があるという。スウェーデンの研究者による実験で、数学のテストなどでストレスを与えた被験者に仮想の森林体験をさせると、心拍数はじきに正常値に戻った。(Video by Lucas Foglia)

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年5月号でどうぞ。

編集者から

 全裸で氷が張った湖に入ったりターザンのように木から木へ移ったりと、自然を楽しむ欧米の人たちはワイルドですね~。別にここまでしなくても、ある研究結果によれば、身近な公園や緑地を歩くだけでも心身に良い効果があるそうです。韓国の国立公園でひと休みする営業マンの方は、仕事のストレスから開放されたように気持ちよさそうな表情をしていますね。だいぶ暖かくなってきましたし、私もどこか緑豊かな山へ行きたくなりました。(編集T.F)

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