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地球上で生産される食品の約3分の1が、食べられることなく廃棄されている。捨てられる食べ物をなくそうと奮闘する英国人活動家に密着した。

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90億人の食 捨てないで食べちゃおう

地球上で生産される食品の約3分の1が、食べられることなく廃棄されている。捨てられる食べ物をなくそうと奮闘する英国人活動家に密着した。

文=エリザベス・ロイト/写真=ブライアン・フィンク

 食べ物を捨てることは、世界のあらゆる文化圏で道理に反すると考えられている。地球上には飢えに苦しむ人が8億人近くもいる一方で、国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界では年間13億トンもの食品が食べられることなく捨てられているという。これは全世界で生産されている食品の約3分の1に当たり、飢えた人の倍以上の人々に食事を提供できるほどの量だ。

「食品ロス」はどの段階で起きるのか?

 これだけの食品が、一体どこへ消えてしまうのだろう? 途上国では、適切な貯蔵施設や十分な道路網、冷蔵設備の不足が原因で収穫後に多くが失われる。一方、先進国では、生産から消費に至るまでの供給プロセス「フードチェーン」の後半段階で、より多くの食品が廃棄される。小売業者が売りきれないのを承知で大量に仕入れて、店頭に陳列している場合もあれば、消費者が冷蔵庫にしまったままにしたり、消費期限前に捨てたりする場合もある。

 食品廃棄は、環境にも悪影響を及ぼす。誰にも食べられなかったとしたら、その食品を作るのに使われた水や肥料、農薬、作物の種子、燃料なども無駄になる。その量は半端ではない。たとえば、世界中で1年間に廃棄される食品の生産に使われる水の量は、ヨーロッパの大河ボルガの年間流量に匹敵するのだ。

 トリストラム・スチュアートは著書『世界の食料ムダ捨て事情』のなかで、地球の資源には限りがあり、2050年までに人口が少なくともあと20億人増えるという予測を紹介。そんな状況で、食品を無駄にすることは言語道断だと述べている。

 3年前、食品廃棄の問題に注目してもらおうと国連環境計画(UNEP)が主催する晩餐会のために、スチュアートは1週間かけてケニアの農村部を駆けずり回り、食材を集めていた。その途中、首都ナイロビから150キロほど離れた場所で、彼はある野菜生産者に出会う。ヨーロッパで定められている外観上の規格に合わないという理由で、その人は毎週、ブロッコリーやサヤインゲン、スナップエンドウ、ベニバナインゲンを合わせて約40トンも廃棄しているという。実に25万人分の量だ。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年3月号でどうぞ。

編集者から

 2014年11月号に掲載した「捨てられる食べ物」は短い特集でしたが、多くの読者が食品廃棄の問題に関心をもつきっかけとなったようです。今回の特集はその続編。世界各地を飛び回って、捨てられる食べ物をなくそうと奮闘するトリストラム・スチュアートの情熱が印象に残ります。一朝一夕に解決できる問題ではないでしょう。でも、地球環境を守るため、また、食べることができずに困っている人たちを助けるために、私たち一人ひとりにできることはあるのだと、スチュアートは教えてくれています。
 記事の編集をしながら、我が家の冷蔵庫の中やキッチンの収納棚にある食品のことを考えました。腐りかけの野菜や消費期限が過ぎた加工食品などが少なからずあります。普段は見て見ぬふりをしてしまいますが、現実を受け入れて、自分に何ができるか考えることが大切なんですね。みんながスチュアートのようにはなれません。自分なりのやり方を見つければいいのでしょう。まずは、キッチンにある食品だけで、夕食を作ってみようかな。(編集S.O)

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