中部太平洋に位置するキリバス共和国。海面上昇によって国土は水没の危機にあるが、この難局に、島民たちは毅然と立ち向かおうとしている。

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気候変動 瀬戸際の地球 沈みゆくキリバスに生きる

中部太平洋に位置するキリバス共和国。海面上昇によって国土は水没の危機にあるが、この難局に、島民たちは毅然と立ち向かおうとしている。

文=ケネディ・ウォーン/写真=カディル・ファン・ロホイゼン

 自分の国が海抜の低い島にあり、世界の人々から「そんな島はもうすぐ海に没するだろう」と言われ続けたら、平然としていられるだろうか?
 広さ350万平方キロに点在する33の環礁から成るキリバスは、「気候変動の影響を最も受けやすい国の一つ」と自国のリーダーたちも認める、太平洋の島国だ。首都があるタラワ環礁は、今後30年ほどの間に人が住めなくなるだろうという予測もある。

気候変動は「島国の住民たちに対するテロ」

 不公平感は海面上昇のリスクを最も受けやすい島々に広がっている。キリバス、モルディブ、マーシャル諸島、トケラウ諸島、そして、ツバルだ。ツバルの首相だったサウファトゥ・ソポアンガは気候変動の影響について、こんな言葉で表現したこともある。
「それは、ゆっくりと知らぬ間に進行する、私たちに対するテロだ」

 水浸しの島々と、海面上昇が原因で国を追われる「気候変動難民」が注目を集め、キリバスは世界に知られる存在となった。現在は、島外への移住が大きな話題になっている。

 たとえそうであっても、自分たちは被害者だとか、太平洋諸国は無力だという意識を受け入れないキリバス人もいる。「私たちは被害者ではありません」と話すのは、タラワにある旅行代理店で働くトカ・ラコブだ。「私たちにも何かできるはずです。敗者にはなりませんよ」

 島にとどまるべきか? 去るべきか? 強制的に移住させられることになるのか? そうだとしたら、どこへ? 現在のところ、気候変動難民を進んで受け入れようとする国はない。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年12月号でどうぞ。

編集者から

 翻訳と編集にあたって、地名や人名の日本語表記などで、ご協力いただいた方がいる。キリバス共和国名誉領事のケンタロ・オノさんだ。オノさんの生まれ故郷は宮城県仙台。15歳だった1993年にキリバスへ単身渡り、2000年に日系人1世としてキリバスに帰化した。そして、キリバスと日本の架け橋となるため、今年8月に名誉領事に就任されたという。記事中にある「大洋を渡る航海者の末裔」を地でいっているような方だと思った。
 ゲラを読んで、オノさんがこんな感想を寄せてくださった。「国民総移住の話が先行していますが、この記事にあった通り、政府としても率先してキリバスを離れるつもりはなく、最後の1センチ、1ミリまで国を守ることが最優先事項です。こんなに美しい島々を離れるのは皆にとって大変つらいことですし、考えたくないことです…」
 この特集を通して、オノさんの願いが日本の読者にも届いてほしいと思う。(編集S.O)

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