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スウェーデンの北極圏に位置する世界遺産、ラポニア地域。氷河が生んだ険しく美しい原生自然の中、人は真の孤独に出合う。

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世界遺産ラポニア 氷河が造った大地

スウェーデンの北極圏に位置する世界遺産、ラポニア地域。氷河が生んだ険しく美しい原生自然の中、人は真の孤独に出合う。

文=ドン・ベルト/写真=オルショヤ・ハールベリ、エアレン・ハールベリ

 1996年に世界遺産に登録されたラポニア地域には、ヨーロッパ最大級の規模で原生の自然が残る。四つの国立公園と二つの自然保護区が域内にあり、スウェーデン政府と、トナカイ猟と遊牧の伝統をもつ先住民のサーミ人が共同で管理している。ラポニア地域内で合法的にヘラジカ猟ができるのは、先住民のサーミ人だけ。おかげでここではヘラジカが、国内の他地域よりも大きく成長する。

 鏡のような湖水に映る空や、白い羽に包まれた冬の雌ライチョウ。ラポニアでは、季節ごとに目を楽しませてくれる風景に出合える。「カバノキの梢が揺れ、すべては語られぬままそこにある」とサーミの詩人は記した。

ラポニアで夏を過ごすサーミの人々

 ヨックモック在住のサーミ人作家ヨン・ウツィの一族が、ラポニアに来たのは1920年代だった。当時ノルウェー沿岸部の山岳地帯にあるシーボットンという村に暮らしていたヨンの祖父、ペール・ミケルソン・ウツィとその一族が、ノルウェー政府によって強制退去させられ、南のスウェーデンへ追いやられたためだ。
 こうした強制移住は摩擦を生んだ。ラポニアがいかに広大でも、新参者は先住者から疎まれる。ヨン・ウツィは現代に生きる多くのサーミ人と同様、トナカイの遊牧で生計を立てているわけではない。だがトナカイもラポニア地域も、彼の人生に重要な役割を担っている。

「私たちサーミ人には二つのアイデンティティーがあるのです」と、ウツィは言う。「スウェーデン語を話し、スウェーデン人と変わらぬ外見をし、多くはスウェーデンの町で暮らす。それでも私たちは、サーミ人として振る舞います。サーミの血が流れていますから」

 スウェーデン北部に住む多くのサーミ人が、ラポニアで夏を過ごす。数頭のトナカイを世話しながら小屋で暮らし、魚釣りやヘラジカ猟をする―国立公園内でこうした行為を許されているのは、サーミ人だけだ。
 サーミ人の伝統は、スウェーデンの政府や社会によって何世紀も抑圧されてきたのだとウツィは語る。伝統的な営みが再開されたのは1970年代以降。政治的に目覚めたサーミ人たちが権利を勝ちとり、民族文化が尊重されるようになった後のことだ。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年10月号でどうぞ。

編集者から

 険しい岩山を勢いよく流れる雪解け水、大小の湖や沼、草地でくつろぐヘラジカ…。スウェーデンの世界遺産「ラポニア地域」には、北の大地への憧れをかき立てる静かな力を感じます。その魅力を雄弁に伝える写真は、ノルウェーを拠点に活躍する写真家のハールベリ夫妻が撮ったものです。これまでにもフィヨルドが刻まれたノルウェーの海岸や、火山と氷河が交錯するアイスランドの絶景などの記事で、ナショジオの誌面に登場しています。
 ハールベリ夫妻を初めて知ったきっかけは、ヨーロッパの自然写真家たちのプロジェクト「Wild Wonders of Europe」でした。写真の力で自然を守ろうという取り組みに69人が賛同。48カ国のフィールドで撮影した作品を持ち寄った成果は、写真展や写真集のほか、日めくりカレンダーにもなりました。4月8日(オルショヤ・ハールベリ撮影)の、柱状節理の岩場が見事なアイスランドの滝が気に入っています。(編集H.I)

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