地球から130億光年以上のかなたにある「深宇宙」で今、新たな発見が相次いでいる。その最前線に立つ日本人天文学者が、大内正己だ。

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日本のエクスプローラー 大内正己 宇宙の果てを見たい

地球から130億光年以上のかなたにある「深宇宙」で今、新たな発見が相次いでいる。その最前線に立つ日本人天文学者が、大内正己だ。

文=奈落 一騎

 2005年から2007年にかけて実施した、ハワイにある日本のすばる望遠鏡の観測で、一つの不思議な天体が発見された。それはくじら座の方角、地球から130億光年のかなたにある直径5万5000光年のガス雲に包まれた、巨大な天体だった。

 地球から130億光年離れた場所の観測は、130億年前の天体を見ていることになる。宇宙の歴史は約138億年。ビッグバンによる宇宙誕生からわずか8億年ほどの「古代の宇宙」に、これほど巨大な天体が発見された報告例はそれまでなかった。この発見のニュースは、世界中に報じられた。

「ヒミコ」と名づけられたこの天体を発見した天文学者こそが、日本における遠方宇宙観測の若き第一人者、大内正己だ。

すばる望遠鏡で世界と互角に渡り合う

 実は日本の遠方宇宙観測は長い間、世界に大きく後れをとっていた。1999年以前、日本最大の望遠鏡は岡山県にある口径約2メートルのものだったが、その頃、米国ではすでに口径10メートル級の望遠鏡が活躍していた。

 だが1999年に、口径8.2メートルのすばる望遠鏡が稼働したことで状況が変わる。そして、大内が天文学者として活動を始めた時期と、すばる望遠鏡が稼働した時期は、ほぼ重なっている。「すばるが稼働したおかげで、自分は世界の天文学者と互角に渡り合うことができた。その意味では幸運だった」と大内は語る。

 最遠の銀河を発見しようという競争は激しい。残念ながら大内らの記録は、わずか数カ月で破られてしまった。正確な距離測定ができていないものも含めると、現時点で発見されている一番遠い銀河は、ハッブル宇宙望遠鏡によって観測されたMACS0647-JD。この銀河は、きりん座の方向の133億9200万光年先にある。この記録も、いつ破られてもおかしくない。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年9月号でどうぞ。

編集者から

 真っ暗闇の太古の宇宙に、最初の星が誕生したのはビッグバンから1億~2億年後のことといわれています。残念ながら現在の望遠鏡では、そこまでの遠方を観測することはできません。しかし特集でも紹介している通り、今後、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や30メートル望遠鏡、巨大マゼラン望遠鏡といったさらに大型で高性能の望遠鏡の稼働が予定されていて、これらを使うとファーストスター(第1世代の星)やファーストギャラクシー(第1世代の銀河)のある領域を観測できる可能性があるといいます。
 観測天文学は望遠鏡の性能によって進化する側面があるので、これから驚くような発見が相次ぐはずです。常識を覆す発見があるかもしれません。そうした研究の最前線に立つ一人が、今号で紹介した大内正己さんであることは間違いないでしょう。(編集N.O)

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