最初の化石発見から半世紀の間、謎に包まれてきた恐竜デイノケイルス。2014年、ついに全貌が解明。その一翼を担ったのが日本の恐竜学者、小林快次だ。

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小林快次 「謎の恐竜」の正体を突き止めた男

最初の化石発見から半世紀の間、謎に包まれてきた恐竜デイノケイルス。2014年、ついに全貌が解明。その一翼を担ったのが日本の恐竜学者、小林快次だ。

文=土屋 健

 恐竜学者の小林快次が初めてデイノケイルスの実物化石を見たのは、2001年、フィンランドのヘルシンキで開催されていたモンゴル化石展でのことだった。当時、博士課程の大学院生だった小林は、その時のことをこう語る。
「とにかく大きい、というのが第一印象です。一目見て、これは間違いなくオルニトミモサウルス類だと確信しました」

 オルニトミモサウルス類は、ティラノサウルスなども含まれる獣脚類の恐竜のうち、「ダチョウ恐竜」といわれる一群の恐竜である。小さな頭に長い首、ほっそりとした長い後肢という、ダチョウに似た体つきの二足歩行をする恐竜で、足が速かったと考えられている。

 オルニトミモサウルス類の数少ない専門家である小林は、デイノケイルスの肩と前肢の化石に、オルニトミモサウルス類に共通する特徴を見いだしていた。
「しかし、問題もありました。オルニトミモサウルス類にしては、大き過ぎた」

新たな化石発見でデイノケイルスの正体に迫る

 当時、デイノケイルスの分類には、さまざまな仮説があった。たとえば、小林の師の一人、カナダ・アルバータ大学のフィリップ・カリー教授は、大きな前肢をもつテリジノサウルスの仲間ではないかと考えていた。「オルニトミモサウルス類と似ている部分は多かったが、断言するには材料が足りなかった」と、小林は振り返る。

 デイノケイルスの謎の解明が大きく進展したのは、2006~10年。モンゴルのゴビ砂漠で、国際チームによる恐竜化石の発掘調査が行われた。フィールドでよく化石を発見するという定評がある小林は、毎年の発掘シーズンにはこの調査に参加し、オルニトミモサウルス類をはじめとする獣脚類の研究を担当した。

 この一連の調査で、1965年に発見されたデイノケイルスの化石の発掘地点を特定することについに成功。さらに幸運なことに、2006年と2009年に待望の新たな骨格化石が2体発見されたのだ。最初に発見された化石と合わせると、デイノケイルスのほぼ全身の骨格が得られ、オルニトミモサウルス類であることが明らかになった。研究成果は2014年10月、英科学誌「ネイチャー」に発表され、世間を驚かせることになる。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年4月号でどうぞ。

●「恐竜化石フィールド日誌」連載中!

恐竜化石フィールド日誌

編集者から

 古い話ですが、本誌2007年12月号の特集「奇妙な恐竜たち」を担当したときに、いちばん興味をかき立てられたのが「デイノケイルス」でした。前肢と肩の化石しかなく、しかも前肢だけで2.4メートルもの長さがあって、実に謎めいている。その後、恐竜展で見た前肢の実物化石は本当に大きくて、思わず笑ってしまいました。
 そのデイノケイルスの全貌が、昨秋ようやく明らかに! 想像もしていなかった姿形に驚きましたが、なんと論文執筆チームの一人が日本人研究者。その方が、今回登場いただいた小林快次さんです。謎って解けるのですね。その場面に立ち会えた気持ちになり、感激しました。
 小林さんには月1回、ウェブで連載いただいています。特集と併せて、こちらもぜひお楽しみに!(編集M.N)

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